5.中国の金融市場のゆがみが是正されるときに生じる旨味
実は、中国株と一口で言っても、その中には本土A株・B株(上海・深セン市場)、香港株が存在します。これらは市場の性格も取引通貨も異なるため、初めての方には、ちょっと分かりにくい制度ですが、とりあえずは「私たち外国人が、投資できるか・できないか」という点を押さえていただければOKです。(もっと詳しくは、松井証券の中国株市場についてをご覧ください)
・外国人が投資できる市場=本土(上海・深セン)B株、香港株
・外国人が投資できない市場=本土(上海・深セン)A株
実際、こんなメンドウな制度になってる国なんて中国くらいなもの・・・中国も、このいびつな状態を何とかすべく、制度改革を少しずつ進めています。
具体的には、中国本土の人には投資ができないとされている市場であっても、許可を受けた機関投資家ならば香港株への投資ができたり、その逆に、外国人投資家が投資できない市場であるA株にも許可を受けた海外機関投資家ならば投資ができたりします。また、中国本土の個人投資家でも一定条件をクリアすればB株へ投資することも、現在は可能です。
このように、年を追うごとに、それぞれの市場間で資金が行き来できる方向に向かいつつあります。
そして中国株では、このいびつな状態をなんとかしようという政策が行われたときに、ちょっとした旨味が生じる可能性があるんです。

たとえば香港市場ですが、ここは基本的には海外投資家にのみ取引が許されている市場です。現在は、許可を受けた中国国内機関投資家ならば、投資をすることが可能となっていますが、個人投資家の人たちは、いまだ投資が許可されてませんので、機関投資家が設定するファンドを通じて、香港株への投資を行うしかありません。でも近い将来、中国本土の人たちにも、香港株への投資が許可された場合、すでに香港株を持っている人には旨味がでてくるかもしれないのです。
というのも、同じ銘柄が、本土市場と香港市場という2つの市場に同時に存在しているケースがあり、しかも2つの市場でついている値段(株価)が異なっているのです。
企業の価値が、上場している市場によって変るということはありませんから、1つの銘柄に2つの株価というのは基本的にはあり得ません。
こんな妙なことが起こっているのは、海外個人投資家が投資できない本土市場と中国本土の個人投資家が投資できない香港市場という、お互いに行き来ができない市場に1つの銘柄が存在しているからです。
両者は本来、同じ価格で落ち着くはずです。もし香港以外の中国本土の人たちが香港株を買えるようになった場合、本土市場での株価よりも、香港市場での株価が安い銘柄があれば、同じ銘柄ならば安いほうで買ったほうがお得です。皆さん当然、香港市場で買うようになりますよね。そうなれば香港市場の銘柄は、価格が上昇することになり、いずれは本土市場と香港市場の株価が同じ状態になるでしょう。つまり、本土市場よりも安い値段がついていた香港株を持っていた人は、とってもお買い得だったということになりますよね。
ただし、本土株が下落することによって、香港株に近づくことも考えられますので、必ずしも香港株のほうが一方的に上がるということが保証されているわけではありません。理屈上は、両者の中間価格へ向けて、お互いに価格を歩みよるイメージが近いと思うのですが、必ずしも実際の相場は、そうはならないかもしれません(香港株のほうが一方的に上がる可能性もあれば、本土株が一方的に下落する可能性もあります)。
また、現在、海外個人投資家が投資できる本土株としてB株市場がありますが、こちらについては、市場規模も小さく、年を追うごとにその存在意義は薄れてきています。
もちろん中国を代表するような優良銘柄もありますし、B株にしか上場していない企業もありますので、まったく存在価値がないというわけでもありませんが、中国政府も、ひとつの国にA株・B株という、2つの異なる市場が存在することは望ましくないと思っているようです(香港は、中国の一部とはいえ、実質的には外国に近い扱いですので、またちょっと意味合いが異なります)。
いずれA株とB株が統合されるであろうと言われており、その場合も、A株よりも安い価格で取引されているB株は、株価が上昇すると期待されています。
もちろん、その場合にはB株の扱いをめぐって、なんらかの措置が取られることになります。このときに、B株株主にとって不利益な措置が取られる可能性もあるにはあるのですが、おそらく外国人投資家が大勢を占めるB株株主に有利な方向へ話がすすむのではないかと予測する人が多く、A・B株統合のウワサが流れるたびに、B株は一時的に急騰することを繰り返しています。
このように、中国株の制度のゆがみを是正する方向へ中国政府が動くと、その隙間をついた形で利益を得ることができる可能性がありますので、そこも中国株の面白いところかもしれませんね。
この視点からの投資は、特に最近、中国株の主要テーマのひとつとして取り上げられることが多いのですが、本来の株式投資という意味合いからすれば王道とはいえないものかもしれません(一種のブーム性もあります)。実際に、制度が改革された場合に、期待したとおりに株価が動くかどうかは保証されているわけではありませんので、この点だけを過信して投資することは望ましくないのでは?と私は思っています(ちょっとした「ボーナス」か「おまけ」ぐらいに捉えておくのが、初心者の方にはちょうど良いかも・・)。
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