※私見の部分も多いので、あくまでも「お話」として読んでください。お約束ですが、投資は自己責任で。
人民元の資産を持つことの意義
世界経済における存在感が高まるにつれて、その国の通貨の価値も上がっていきます。これは、もちろん中国だけではなく、他のBRICs諸国についても言えることですが、中国の場合には、少し特殊な事情もあります。(→詳しくは、中国株の魅力へ)
さらに中国の場合には、将来は米国と並ぶほどの経済大国になる可能性もあると言われていますから、世界通貨の中での人民元の地位も上がっていくことでしょう。
資産運用では、株や債券など、連動性の低いものの組み合わせが推奨されていますが、このことにより、同じリターンでもリスクを小さくする効果が得られます。同様に、通貨も分散することが望ましく、日本人ならば、現在のところは円以外に、まずはUSドル。そして、現在の3大通貨と言われており、その存在感を増しつつある「ユーロ」を加えておくというのが一般的でしょう。(さらに余裕があれば、上記3通貨との連動性が比較的低い、豪ドルでしょうか)
どの通貨が強く(弱く)なっても大丈夫なように、通貨の分散をしておくわけですが、円・ドル・ユーロ以外の第4の通貨として、何を加えるかについては、コンセンサスが得られていません。そして、ひとつの案として考えられるのが、GDPレベルでは遠からず、日本を抜いて世界第2位になる可能性が高い中国の通貨「人民元を持つ」ことです。
ただし現在では、中国国内でしか人民元の保有ができないため、私たち外国人が人民元預金をするには、いろいろと不便な点があります。ここで人民元そのものを保有するかわりとして浮上するのが、中国株に投資するという選択肢。
中国株そのものはHKドルかUSドル建てですが、中国本土企業は人民元建ての資産を持っているわけですので、中国株へ投資することは、間接的に人民元を保有することになります。(ただ預金ではありませんから、株式のリスクがあります)
もちろん、人民元が、ドル・ユーロ・円に並ぶ世界通貨になるためには、自由化されることが必須条件ではありますが、人民元の自由化は、近い将来行われる見通しが高いとされています(現在の金融制度改革も、そこへ向った流れです)。
世界の基軸通貨であるドルの地位は、そう簡単には失墜しないとは思いますが、ドル離れの流れは、長期的には進んでいきそうですし、日本の世界経済における地位低下が明らかな現状では、円の下落も進む可能性も低くはないと思います。いまのうちに人民元建て資産を仕込んでおくことは、円やドルへのリスクヘッジにもなるのではないでしょうか。
BRICsと先進国の間に位置する中国
BRICsという言葉を生み出したオニール氏によれば、そもそもBRICsは、もはや狭義の新興国とはいえず、NEXT11などが、本当の意味での新興国=エマージングカントリーであるとしています。BRICsの4カ国は自分たちだけで生き残っていける力を持っている点で、他の新興国とは、違うステージに区別されているのです。
さらに、大和総研によれば、中国は今では、ほかのBRICsに比べても、かなり抜きん出た位置につけているそうなのです。
2006年のデータによると、中国のGDPは、米国、日本、ドイツに次ぐ第4位(ブラジル10位、ロシア11位、インド12位)。また株式市場の規模も、中国本土市場と香港市場を合わせた時価総額は、2007年8月に、ついに日本の東証一部の時価総額を追い抜いてしまいました。
2007年9月時点での時価総額は600兆円以上。それに対して、ほかのBRICs諸国の時価総額は100兆円ほどです。これだけの差をつけて、すでに中国は、他の新興国よりも、はるか先を走っている状態なのです。今や、ユーロ経済圏とともに、虎視眈々と、世界第2位の経済大国の地位にある日本の後釜を狙う位置につけているわけですね。そして中国は、ユーロ経済圏よりも遥かに高い成長力によって、そう遠くない将来には、日本を追い抜く可能性が高くなっています。
また、2006年12月には、米国カリフォルニア州の公的年金基金カルパースが、2007年から、中国株への投資を行うことを発表しました。カルパースは、世界最大の年金基金であり、ここが中国への投資を行うということは、本来、先進国にしか入ってこないような性格の資金が、長期投資先として選ばれたということになります。最近では、世界株価指数に採用される中国株銘柄も増加しており、これらのことは、中国の株式市場が、先進国株式市場に匹敵するというのは言いすぎとしても、それに準ずる扱いに値すると、欧米の機関投資家が評価していることの現われなのかもしれません・・・。
これまでBRICsという言葉で、十把ひとからげに新興国として扱われてきた中国ですが、このような変化を見るかぎり、現在は、BRICsと日米欧の中間的な地位を確立しているという考えにも説得力があります。
そして、BRICsを筆頭とする新興国と日米欧の中間的な位置につけているということは、両者の中間的な性格を備えつつあるということにもなります。
新興国 リスク(株価の変動幅):大きい 成長率:大きい 安定性:低い
先進国 リスク(株価の変動幅):小さい 成長率:小さい 安定性:高い
安定性の部分は、イメージによるところがが大きいのですが、国全体としての評価だと思ってください。(日本は先進国ですが、最近の日本株市場は、株価の変動幅が大きく安定性が低い点で、新興国の性質も強いという意見もあります)
中国は、長らく高成長を続けており、その将来性を考えれば、大きく株価が上昇する可能性を残しつつも、一方で、その上昇余地は、他の新興国に比べてしまうと、見劣りするのでは?と感じるところもあります。しかし、外貨準備高の増大により、他の新興国にはない安定性が出てきていることも事実です。
日米欧のような先進国とも、BRICsを筆頭とする新興国とも異なる、中間的な位置につけている点からも、ポートフォリオの一部として投資すべき対象として、中国株を捉えてみるのが良いのではないでしょうか。「中国とインド、どっちがいいか?」「中国とベトナム、どっちがいいか?」はたまた「中国と日本、どっちがいいか?」という視点ではなく、他の投資国とはひと味違った立ち位置になってきたことも、中国への投資の面白い点だと思います。